鳴海です。
先日、カウンターテーブルを作りたいというお客様がいらっしゃいました。
「長年、母が和裁で使っていた裁板があるのですが、それを使ってつくれませんか?」とのことでした。
裁板(たちいた)とは着物の生地を裁断する作業台として使われていた板のことで、細長い形と20~30cm位の短い脚がついているのが特徴です。
今だと、中々目にする機会はないものですが、懐かしいと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
表面についた沢山の傷から長年大事に使っていたことが窺えます。
裏を見ると吸い付き桟(蟻桟とも言う)の跡がありました。
一つ一つ天板と脚の形を揃えて切る大変手間のかかる取り付け方法ですが、その分大量製品の物とは違い、長く使うことが出来ます。
手前からスライドさせてつけるので接着剤を使わずに天板の反りも防げる伝統工法です。
イメージ画像:ぴったりとはめ込みます
脚は新しいものと交換になるので、役目を終えた吸い付き桟は目立たぬように埋め木しました。
作業台からカウンターテーブルへと形を変えていきます。
そして先日、お客様のもとへ届けてまいりました。
オリジナルチェアの【ASARIチェア】が3脚ピッタリ入る寸法です。
手元には引き出しが3杯ついているのでランチョンマットやカトラリー等も収納できます。
お客様にも「見違えました!」と喜んで頂けました。
無垢の天板は手入れさえ正しくしてあげれば、一生お使いいただけます。
思い入れのある品を作り変え、受け継いで、また使っていけるのは素敵なことですね。